2010年11月 9日 (火)

『叡智を生きる 他者のために、他者とともに』を読んで

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 母校である上智大学出版会から8月に出版された『叡智を生きる 他者のために、他者とともに』をようやく本日読み終えることが出来た。この書籍、上智大学が2013年に創立100周年を迎えることから、上智大学とは一体どのような大学なのか、上智大学そのものを再確認し、上智(SOPHIA)の由来、創設の経緯に始まり、ソフィア・プライド(矜持)やキリスト教ヒューマニズムの解説まで、歴史的エピソードを交えて、上智の教育精神を紹介しているもの。

 色々なことを大学時代に学ぶことが出来たけど、やはり私が上智で一番学んだことは、今回書籍の副題にもなっている“Men and Women for Others, with Others”(他者のために、他者とともに)の精神。哲学や倫理学以外の講義でもたえず「自分の才能や能力を自分の満足や利益のためでなく、他者のために役立てることを誇りに思うように」とのメッセージが込められていたように思う。

 この強いメッセージを大学時代に全身に受けることが出来たことは、今の職業に大きく影響しているかな。。。 

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2009年10月22日 (木)

「愛だけを残せ」&『神様のカルテ』

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皆さん、お久しぶりです。イギリスでの楽しいひと時をアップしたいのですが、なにせ帰国したら仕事が山積みで、自由な時間をほとんど取ることが出来ずにおりますcoldsweats01 そのような中、ラジオで一足先に11月4日発売の中島みゆきのニューシングル「愛だけを残せ」を聴くことができましたheart04 以下が1番の歌詞となります。

「愛だけを残せ 壊れない愛を 激流のような 時の中で 

 愛だけを残せ 名さえも残さず 命の証に 愛だけを残せ 

 止むに止まれぬ人生は綱渡りだ 選ぶつもりで選ばされる手品だ

 闇の中の風のように 突然に愛は居所を求める 

 弱き者 汝の名を名のれ しなやかに 強き者 汝の名を名のれ ささやかに

 みんな果敢無くて みんな愛しくて 振り返ってしまうから  

 愛だけを残せ 壊れない愛を 激流のような 時の中で 

 愛だけを残せ 名さえも残さず 命の証に 愛だけを残せ」

う~ん、素晴らしい曲に仕上がっていて、毎日何度も聴いています。早くCDで全曲を聴いてみたいですねsign03

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話はかわって、最近専門書ばかり読んでいて、なかなか小説を読む時間を持つことができなかったのだが、先日札幌に戻ってくる飛行機の中でようやく読みたいと思っていた『神様のカルテ』を読む時間を持つことができた。しか~し、この本を飛行機の中で読んだのが大間違いcoldsweats01 もう涙が止まらず嗚咽までもれる始末で大変だったshock 久々にこんな心にしみる温かく優しい小説を読んだ気がする。「学問を行うのに必要なものは、気概であって学歴ではない。熱意であって建前ではない。」、この一文、とても考えさせられた。門出の桜、月下の雪はとっても良い話なので皆さんにも是非とも読んでもらいたい。ちなみにこの小説には銘酒が沢山登場してきて、我が愛する「呉春」も出てくることを付け加えておく。

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2008年12月 5日 (金)

雑誌取材終了!

 今日はとある雑誌社の方が研究室に来て、私にインタビューをしていきましたcoldsweats01 何でも先日行った私の講演会について記事にしたいとかでわざわざ来てくださったのです。小一時間位でしたが、編集者の方に質問されたことを答えていくという形式でインタビューは無事に終了happy02 インタビューを受けるのは久々だったので、少々緊張しましたが、校正原稿が来週には上がってくるそうで、月末にはこの雑誌が出版されるようです。少しずつ今の地でも活躍出来る場が広がりつつあり嬉しく思う日々です。

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2007年9月20日 (木)

お勧めの本&映画 バッテリー

 今日は阪神の試合もあっさり終わってしまったので(苦笑)、今まで忙しく時間がなく見ることの出来なかったDVDをようやく観ることが出来た。それは何かというと「バッテリー51ibn4rkxdl_ss500_ 。原作は、1000万部を突破したあさのあつこによる同名のベストセラーになった児童文学。児童文学ながら大人をも魅了する不思議な力を持つ小説といえる。この小説との出会いは忘れられないものがある。

 イギリス留学中に実は親に内緒で1度だけ東京に帰ってきたことがあった。それは、ドクターの学位(博士号)を取る最終段階審査で一部分の書き直し、という審査結果であったがゆえに急に不安になったから(苦笑)。日本だと「○○博士課程満期退学」という訳のわからん制度?!のようなものがあってそれを堂々と履歴に書いたりするのだが(要は博士号を取れなかったということを証明する以外の何物でもないのだが。。。)、留学の場合、そんなものはもちろんなく、学位が取れなければ単なる留学崩れに終わってしまうのだ。今思えば、一部分の書き直しによる再審査というのは何ら珍しいことではなくイギリスでは普通のことだったのだが、そのときはもうドクター取得は無理なのでは、ということしか頭に浮かばず不安で不安でしょうがなかった。その時はともかく一度日本へ、という思いしか浮かんでこなかったのだ。かといって実家に戻れば不安に思われるだけ、ということでともかく東京に2日間だけ帰ることにして親友Kとのみ会うことにした。その際、Kから手渡されたものが角川文庫の『バッテリー』だった。Kにイギリスであったことを具体的に話したわけではない。しかし、彼は長年の付き合いからなのか、私の雰囲気から何かを感じ取ってくれていたのであろう。「とりあえずイギリスに戻ったら読んでみろよ!」とだけ言い残し別れ際に手渡してくれたのだ。

 イギリスに戻るにはまた12時間という長い飛行時間がある。もちろんイギリスに着くまで待てるはずもなく、戻る機内の中で一気に読んでみた。簡単に内容をまとめてみると、もうすぐ中学生になる天才ピッチャー、原田巧。彼の球は速すぎて捕手も捕球出来ず、野球部でも孤立。また、母親は病弱な弟・青波(せいは)を彼より優先し、家族の中でも孤立しがちだったが、中学入学目前の春休み、一家は弟の健康のため岡山県に引っ越し、巧は自分の球を受けることができる捕手・豪に出会う。しかし野球部に入学した巧を待ち受けていたのは、監督による徹底した管理野球と、彼の才能に嫉妬する先輩たちによるイジメ。それでも巧はそれらに屈せず自分を貫くこうとする。そして、野球部の存続をかけた他校との対抗試合の日がやってくる。。。というようなもの。

 機内にも関わらず、読みながら涙が止まらなかった。野球って本当になんて素晴らしいスポーツなのだろう、ということに感動したのももちろんなのだが、「いましか出来ないことがある」ということを巧と豪という二人によるバッテリーの技術と心の成長を通して読者に強く訴えていたからだ。家族の絆、友人の大切さ、そしてその中で自分の存在を実感し、一歩一歩成長していく様子の描写が見事だった。読み終えた後、そうか、Kが自分に伝えたかったことはこのことなのか、ということを理解することができ、何とか自分も現実から逃げ出すことなくそれから9ヵ月後の最終再審査で無事にドクターを取得することが出来た次第。

 そうした経緯がある小説が原作の映画なだけに本当は3月に公開されたときに映画館にぶっ飛んでいきたかったのだが、仕事がどうにも忙しくその余裕を持つことが出来なかったのだ。そしてDVDの発売初日に購入していたにも関わらず今日まで観る機会を持つことが出来ないでいたのだが、今特典映像を含め見終え、まずは配役が見事だなぁと感じた。巧&豪を演じる二人もまるで小説から抜け出してきたかのようだし、その脇役をベテラン勢が見事なまでに埋めている。特に天海祐希、菅原文太の演技には涙々。。。それに舞台となっている岡山の美しい町並みが映画をより一層奥深いものにしている感じがする。静かな優しさがずっと根底に流れているような映画と言える。小説と同様にこのDVDも是非とも1度観て頂きたいものだ。

 ちなみに親友Kの名は私のドクター論文の「Acknowledgments」のなかにしっかりと認められている。

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2007年2月 9日 (金)

養老院より大学院!

 明日の学会発表を控えているなかで、気分転換に久々にブログをアップしてみようという気になった。

 先月怒濤の日々の中、深夜何気にテレビをつけてみると脚本家・内舘牧子のドアップが映り少々ひいてしまったのだが、その内容が彼女が東北大学の大学院で学んだ3年間のドキュメンタリーらしく、時間がない中で思わず食い付くように見てしまった。これがまた深夜枠でやっているとは思えないくらいに面白い番組だったのだ。いわゆる「社会人枠」で東北大の大学院に進み、相撲を宗教学的観点から研究した彼女の3年間を追ったドキュメンタリーでまさしく「生涯学習」の実践そのもの!来年度の教材になるな、と即録画を開始しノートを取りながら見ていたほどだ。

 そして先日、とある新聞の書評で彼女がこの3年間を本にしていたことを知り即紀伊国屋に買いに行ってみた。そのタイトルが『養老院より大学院 学び直しのススメ!』である406213661901_ss500_sclzzzzzzz_ 。座右の銘は「人生出たとこ勝負」との書き出し、うーん、さすがは脚本家なだけはある、読者をグイグイ内舘ワールドに引き込んでいく。彼女の本を読んだのは今回が初めてだったのだが、「人生出たとこ勝負」などはまさに自分の生き方と重なるところがあり、時折笑いながらあっという間に221頁の本を読み終えてしまった。社会人が大学院に進むにあたっての心構え本とも言えようか。リカレント教育などを学生に実感を持って学んでもらうために来年度の教科書にしてみようかと考えているくらいだ。「学びとは素晴らしいものだ」と素直に思える1冊、是非とも皆さんも手にとってみてはいかがだろうか。

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2006年11月 4日 (土)

久々に。。。

 この4月から日本語でも英語でも専門書以外の本を読んだ記憶がとんとない(汗)。特に大学で教えるようになってから講義のための教材研究に追われ、かつ、いつも依頼論文を数本抱える身になってしまったことから、とっかえひっかえ専門書と格闘する日々だったのだ。しかし、やはり元来の読書好き、そろそろ限界に来ているのが自分でもわかっていた。そうなるといてもたってもいられなくなり、夕方、札幌駅前の書店に行き、文庫・新書コーナーをボーッと眺めていて目に入ったものがこの東野圭吾による「手紙」という文庫本416711011301 。実は彼の本を読むのは今日が初めて。自宅に戻ってきて早速読み始め、夕食を取ることも忘れ、先ほど一気に読み終えたのだが、なかなか良い本と巡り会えた、というのが率直な感想。しかし、専門から完全に離れた本ではなかったのが痛いところ(苦笑)。以下は要旨が書かれているためネタばれ注意。

 ストーリーはというと、強盗殺人の罪で服役中の剛志(兄)と直貴(弟)の物語。直貴のもとには獄中から月に一度手紙が届く。しかし、進学、恋愛、就職と、直貴が幸せをつかもうとするたびに、「強盗殺人犯の弟」という運命が立ちはだかる苛酷な現実。人の絆とは何か、果たしていつか罪は償えるのか、日本の小説としては珍しく「犯罪加害者」の家族を真正面から描いている秀作と言える。こう書くと、内容が大変堅苦しいもののように思えるかもしれないが、実際読み進めると非常に読みやすく構成されているので、一気に読み上げることができた。そしてその読みやすい文体であるがゆえに、時折発せられる主人公達の台詞が強烈に心へ響いてくる。特に後半が一気に読ませる内容となっており、ラストに向かって読み進めれば進めるほどに心を揺さぶる展開に涙が止まらなかった。

 自分の専門として、刑務所等での矯正教育を渡英以来研究の柱の1つとしているのだが、その意味でも色々と考えさせられる1冊であったことは言うまでもない。文庫本の帯には、この本が映画化されて上映されるとのことだったので、見に行ってみようと思う。今日はとても充実した秋の1日であった。

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2006年6月27日 (火)

息を聴け

410302451801_ss500_sclzzzzzzz_v52665547_ 「アイコンタクトが無理なら息を聴け!」「息遣いで合わせろ。お前たちの武器は、その耳だ!」 『息を聴け』は 視覚障害を持つ8人の若者が全日本アンサンブルコンテストに挑むドキュメント。楽譜はどうする?! 出だしの合図は?! このように手探りで彼らを指導し、ともに涙を流した一人の打楽器奏者冨田篤が綴ったものだ。本書では、2005年全日本アンサンブルコンテスト(大学の部)に初出場した熊本県立盲学校アンサンブル部(打楽器八重奏)が、県大会~九州大会を勝ち進み、ついに全国大会で金賞を獲得するまでが描かれている。

 8人のメンバーは全員が視覚障害を持っている。全盲、強度の弱視、極度に狭い視野、そのほかの障害と様々。楽譜はどうすればよいのか、出だしの合図は?曲目は?と次から次へと明らかになってくる問題、そんな中でも同部のトレーナーである冨田氏は障害者への音楽指導は初めてだったが、手探りで指導法を模索し彼らとともに悩み、涙を流しながら全国大会に向かって突き進む。そこにあるのはただひたすら自分たちの納得のいく音楽を演奏しようと努力する若者たちの姿。

 この書籍が紹介されるとき、しばしば“奇跡”という言葉を目にするのだがそれはこの本をよく読まず、ただ単に“視覚障害者がアンサンブルで金賞を取った”から“奇跡”だと言っているとしか思えない。これは奇跡でもなんでもない、これだけ緻密な練習を繰り返していれば、むしろこの結果は驚くに値しない。“奇跡”という言葉が、彼らの弛まざる努力を汚しているような気がしてならないのは自分だけだろうか。

 梅雨時は室内にいることも多いであろうから、是非とも皆にも一読してもらいたいお奨めの本。

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2005年12月22日 (木)

Courrier Japon

イギリスから日本に戻ってきて不満の1つに、新聞の内容の薄っぺらさ(特に国際面)がある。イギリスでは001毎日The TimesとThe Guardianを購入し読んでいたが、端から端までじっくり読もうものなら軽く2時間以上はかかるくらいだったし、内政のみならず国際面に割かれるページ数も多く、何よりもそれぞれの個性がはっきりしていて面白かった上、知的好奇心をくすぐられる毎日だった。しかし日本に帰ってきてからの新聞は残念ながら日本のジャーナリズムというものがまだ未熟であることを示していた。そんな思いでいる中創刊されたのが「Courrier Japon」。これは「世界にはメディアの数だけ視点がある!」をテーマに新聞・雑誌・専門誌など1000以上のメディアから記事を抜粋して作った隔週の雑誌である。日本ではGuardian Weeklyを定期購読しているのだが、それだけではなかなか好奇心を満たすまでには至らなかったところ、この雑誌の創刊と言うことでひとまず創刊号を買ってみたのだが、これがなかなか面白い。いくらネットで情報が得られる時代とはいえ、これだけ1つの切り口の情報を自分一人で集めようと思うと相当に時間がかかってしまう。加えてその情報源が”一応”各国で信頼されているメディアという点も、ネットと異なる点であろう。時折誤訳のようなものが見られるものの、第3号まで読んだところではまずまずの出来と言えるのではないか。最近では機内での時間に欠かせない1冊となっている。特集によるかもしれないが、一読を勧めたい1冊である。

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